ほうれい線は「年齢を重ねてからの悩み」と思われがちですが、実は若い世代でも
目立つ方がいます。ほうれい線が目立ってしまう理由は加齢だけではなく、生まれ持った
骨格の構造や表情筋の使い方、肌質、生活習慣など複数の要因が関係しています。
ここでは、若いのにほうれい線が目立つ原因やNG行動、改善が期待できる美容医療まで、
わかりやすくご紹介します。

若い方のほうれい線に関するよくある質問

 Q.ほうれい線が気になっています。若いのに目立つのはなぜでしょうか？

1. 骨格や表情筋の使い方、日常のくせなどが影響し、10代後半〜20代でもほうれい線が目立ってくるケースがあります。

Q.若いときからほうれい線がある場合、年齢とともに深くなりますか？

1. はい、その傾向はあります。できたほうれい線は、加齢で肌の弾力が低下してくるとともに、さらに深く・濃く見えやすくなります。

Q.ダイエットをしたらほうれい線が目立ってきた気がします

A.急激なダイエットは注意が必要です。皮下脂肪も落ちて頬のボリュームがなくなり、肌を支える力が弱くなることで、ほうれい線がくっきりと現れることがあります。

このように、若い方であっても、ほうれい線の悩みが生じる場合があります。ほうれい線が目立つ原因やセルフケアのポイント、美容医療による対処法について詳しく解説します。

若いのにほうれい線が目立つ6つの原因

まず、若い方にほうれい線が現れてしまう主な原因をご紹介します。

骨格の影響

以下のような骨格タイプの方は、ほうれい線が出やすい傾向があります。

・頬骨が高い：頬の脂肪が落ちやすく、影ができやすい

・頬中央の骨が低い：脂肪を支える支持構造が弱く、たるみやすい

・歯茎が前に出ている：皮膚を内側から押し出すため、筋肉の過緊張で線が刻まれる

生まれ持った骨格は基本的に変えることができません。しかし、自分の顔立ちの特徴を理解すれば、将来のリスクを見越して早めにケアを始める等の対策が可能です。

表情筋の使い方

表情筋を動かしすぎること、あるいは動かす機会が少なすぎることも、ほうれい線が深くなる一因です。

	表情が豊かな方	無表情の時間が多い方
特徴	表情筋が活発に動くことでシワが定着しやすい	表情筋が衰え、脂肪を支える力が弱くなる
対策方法	表情筋に負担をかけすぎないよう、ほうれい線に着目したスキンケアや保湿ケアを取り入れる	意識的に笑顔を作る・表情を動かす習慣をつけることで、筋肉の衰えを防ぐ

むくみ・脂肪の偏り

頬の脂肪が厚めの方は、重みで皮膚が下垂しやすく、ほうれい線が目立ちやすくなる傾向があります。また、むくみやすい体質の方は顔に水分がたまりやすく、頬の膨らみとのコントラストでほうれい線のラインが強調されて見えがちです。

乾燥肌・紫外線

乾燥肌や敏感肌の方は、肌を土台から支える力が低下しやすく、表情のクセがそのままシワとして定着しやすい傾向があります。

また、紫外線を多く浴びている方は、表皮の下にある真皮層のコラーゲンやエラスチンが徐々に減少し、肌のハリや弾力が失われていきます。結果として、肌を内側から支える力が弱まり、ほうれい線が目立ちやすくなります。

口呼吸のくせ

生活習慣の中でも特に意識してほしいのが、寝るときの姿勢や口呼吸のくせです。横向きやうつぶせで寝ると、顔に片側からの圧がかかりやすく、シワが定着しやすくなります。また、口呼吸が習慣化すると、口の周りの筋肉が不自然に緊張・弛緩してバランスが崩れてしまい、皮膚を支える力が弱まることでほうれい線が目立ちやすくなるのです。

過度なダイエット

過度なダイエットで顔の脂肪が減少すると、ほうれい線が深くなる原因になります。ダイエットをする場合は、健康的な食生活を心がけながら行いましょう。

ほうれい線のセルフケア｜注意すべきポイントとNG行動

ほうれい線をケアするには、まず日常生活から見直してみましょう。

正しいケア方法

・スキンケア：しわにアプローチする成分を配合した製品を使用する

・紫外線対策：状況に合わせたSPF・PA値の日焼け止めをこまめに塗り直す

・両側でバランスよく噛む。

これらのケアは短期間で劇的な効果は期待できませんが、継続することで悪化を防ぎ、また、少しずつ効果が現れてくる場合があります。

ただし、間違ったケアを続けてしまうと、かえってほうれい線が深くなる可能性もあるため、NG行動を避けながら行いましょう。

やりがちなNG行動

過度なマッサージや美顔器の使いすぎは、摩擦や引っ張りによって、たるみを悪化させる可能性があります。ほうれい線が気になるあまり、舌回し等の表情筋トレーニングをやりすぎてしまうと、かえってシワが深くなることもありえます。「鍛える」だけでなく「緩める」ことも意識して、バランスよくケアすることが大切です。

また、ほうれい線にアプローチするスキンケアだけでは、骨格由来のくぼみや影まではカバーできません。スキンケアだけに頼らず、表情筋のくせ・生活習慣を見直すなど、多角的なアプローチを行いましょう。ただし、上記も、今以上にほうれい線が深くならないための予防的ケアにすぎません。

ほうれい線を効果的に消すための美容医療

セルフケアではなかなか改善しにくいほうれい線に対しては、美容医療の力を借りるのもひとつの方法です。

なかでも代表的な施術がヒアルロン酸注入です。皮膚の内側にヒアルロン酸製剤を注入することで、肌にボリュームを与え、シワを内側から持ち上げる効果が期待されます。

以下の表では、ほうれい線治療でヒアルロン酸注入を行うメリットと留意点を簡単にご紹介します。

メリット	留意点
・注入直後から効果を実感しやすい ・ダウンタイムが少なく、すぐに日常生活に戻れる ・骨格由来のくぼみ・ボリューム不足にも対応できる	・効果は永続ではなく、半年～1年ほどで徐々に吸収される ・繰り返し治療が必要な場合がある ・注入箇所・量によって仕上がりに差が出る可能性がある

ほうれい線へのヒアルロン酸注入では、顔面動脈の近くに製剤を注入するため、知識や技術が求められます。誤って血管内に注入されると、壊死や脳梗塞といった深刻な合併症を引き起こすおそれもあります。「価格が安い」「キャンペーン中だから」といった理由だけでクリニックを選ばず、トラブル時の対応体制などをしっかり確認し、経験と実績のある医師のもとで施術を受けるようにしましょう。

当院で取り扱っている4種類のヒアルロン酸製剤は以下のような特徴があります。

ジュビダームビスタ® ボリフトXC（アラガン社）

特徴は、その肌なじみのよさにあります。製剤自体がとても柔らかく、組織になじみやすいため、違和感のない仕上がりが可能です。浅いほうれい線やマリオネットライン（唇の端からあごに向かって伸びるシワ）をナチュラルに仕上げたい方に適応しています。

ジュビダームビスタ® ボリューマXC（アラガン社）

適度な硬さがあるため、深いほうれい線に適応するヒアルロン酸製剤です。効果が比較的長く続き、リフト力も両立しているのが特徴で、顔の解剖に基づいた注入をすることで顔のバランスを整えられます。

ジュビダームビスタ® ボライトXC（アラガン社）

肌質改善目的として使用される比較的柔らかめのヒアルロン酸製剤です。肌にうるおいとハリを与え、気になるシワをナチュラルに目立ちにくくします。肌全体の質感を底上げできるため、表情が明るくなるだけでなく、メイクのりの良さを感じやすくなります。

チャウム スタイル（韓国製ヒューゲル社）

粒子の大きさや密度が均一化された韓国製のヒアルロン酸製剤です。温熱処理により、しなやかさと弾力性を両立させています。自然な立体感を演出する仕上がりが特長で、女性らしい雰囲気を作り出せます。

ほうれい線の悩みはヒアルロン酸注入で改善が期待できる

若いのにほうれい線が目立ってしまう背景には、骨格の特徴・表情筋のくせ・日々の生活習慣などが複雑に関係しています。特にほうれい線は、肌表面だけのケアでは改善が難しく、誤ったセルフケアによってかえって悪化してしまうケースも少なくありません。

効果的にほうれい線をしっかり消したい場合は、ヒアルロン酸注入による治療が有効です。肌の内側からふっくらとボリュームを補うことで、自然な仕上がりで口元の印象を若々しく整えられます。

当クリニックでは、一人ひとりのほうれい線の状態やお悩みに合わせて、複数のヒアルロン酸製剤から最適なものをご提案しています。「口元に自信が持てない」「マスクを外すのが恥ずかしい」と感じている方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。

■参考文献

岡田 雅，衣笠哲雄「ヒアルロン酸注入のトラブル予防1, 2023.美容皮膚医学BEAUTY.#44 Vol.6 No.1 .p6-7

http://www.igaku.co.jp/pdf/2044_beauty-02.pdf